このブログでは、なぜ金に他の金属とは異なる価値が与えられたのだろうかということを考えてきている。
「金(きん)がとても綺麗だ」という純粋な事実が人間に普遍的な魅力を与えているのである、というのが結論の基準ではあるのだが、兌換紙幣の発行などあるタイミングにおいては根源的な魅力だけでなく、政治的な価値の付与が行われているのも確かである。
そこで、金の価値が高くなると得をするのは誰だろうかという点に着眼して金について調べてみる。
まず、金の産出量の多い国。これは現在。現在は兌換紙幣が発行されている訳ではないので、すでに金に価値がある状態での今、という話にはなるが。
2016年の金産出量は世界全体で3,100トン。2015年と変わらず横ばい推移。国別では1位の中国が455トン。以下、オーストラリア、ロシア、米国、カナダ、ペルー、南アフリカと続きます。
2016年の金産出量上位を占める国と生産量、シェア、前年産出量は以下のとおり。
1位:中国 455t(15%)450t
2位:豪州 270t(9%)278t
3位:ロシア 250t(8%)252t
4位:米国 209t(7%)214t
5位:カナダ 170t(5%)153t
5位:ペルー 150t(5%)145t
7位:南アフリカ 140t(4%)145t
8位:メキシコ 125t(4%)135t
9位:インドネシア 100t(3%)97t
9位:ウズベキスタン 100t(3%)102t
上位10カ国が年間産出量100トンを超え、11位以下にはガーナ(90t)、ブラジル(80t)、パプアニューギニア(65t)と続きます。
上位13カ国で世界全体の71%の金を産出しています。出典:U.S.Geological Survey – Mineral Commodity Summaries
このうち、中国の産出量は実はこの10年で急増した。また、10年前までは南アフリカが産出量1位で、その後順位を落としている以外の国はほぼ横ばいである。
南アフリカは金に限らず地下資源が豊富であって、金はもちろん、ダイヤなどの他の資源について種類も量も多い。
金については、1970年頃には実に世界の産出量の7割を南アフリカが占めていたが、現在では資源の低下、他産出国の追い上げ、施設の老朽化などによりシェアを落としたが、それでも多い。
ここで、埋蔵量はどうなっているかというと、オーストラリア、ロシア、南アフリカ、アメリカと続く。
だが、金に価値が与えられた当時を考えると埋蔵量にはあまり意味が無いように思える。
埋蔵量と保有量の二つを検証する事によって今後金の価値を維持したい国は見えてくるかもしれない。ただ、すでに金に価値はあるという意識はおおよそ全ての人類に浸透しているので、単純に上記二つを調べても意味が無いかもしれない。
結果、今の金の産出量を調べてもあまり意味が無いような気がしてきた。
そもそも金に価値があった時代はもっとずっと古くて、そのときから価値があることが当り前となっていたのであれば、最近になって価値を与えたも何も当然であったかもしれないと思うからである。
ただ、ダイヤモンドやプラチナではなくて金というところには、何かしらの作為があると考える方が自然だろう。これは悪い意味で作為と言っているのではなく、選定した理由があるのではないかという意味である。
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